退去費用の請求書が届いたら|敷金診断士による請求内容の調査と実例

最終更新:2026年10月25日

退去費用の請求書を見て、「高すぎるのでは?」「この項目は本当に自分の負担なの?」と疑問に思っていませんか。このページでは、届いた請求書について敷金診断士が何を調べるのか、どんな書類をお渡しできるのかを、実際の調査事例とあわせてご紹介します。

結論

「ガイドラインのことは調べて知っている。でも、自分の請求のどこを確認すればよいのか、相手にどう伝えればよいのかが分からない」。請求書が届いた方から、いちばん多く聞く声です。

敷金診断士は、請求書や契約書、写真などの資料を確認し、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方と照らし合わせて、確認すべき点や、費用負担を検討する際の参考となる事項を、調査書という文書にまとめます。依頼者に代わって話し合うことはできませんが、調査書を手に、ご本人が疑問点を整理して管理会社・大家さんに伝え、話し合いを進めることができます。LINEで資料を送っていただければ、全国どこからでもご依頼いただけます。

請求内容の調査で、敷金診断士ができること・できないこと

請求書が届いたあとでも、請求内容の調査はご依頼いただけます。(代わりに話し合うことや、法律相談は行いません)

敷金診断士の仕事は、退去後の原状回復費用について、請求書や契約書、写真などの資料を確認し、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に示された考え方と照らし合わせて、確認すべき点や費用負担について検討する際の参考となる事項を調査書にまとめることです。

退去後の費用負担をめぐって当事者間に争いがある場合、依頼者に代わって管理会社や大家さんと交渉したり、個別の紛争について法律上の判断を行ったりすることは、敷金診断士の業務には含まれません。

調査書は、依頼者ご本人が請求内容を理解し、管理会社や大家さんに疑問点を伝え、話し合いを進めるための資料としてご活用いただくものです。費用負担の最終的な判断は、契約内容や個別の事情などによって異なります。

できること

  • 請求書・契約書・写真などの資料を確認し、ガイドラインの考え方と照らし合わせる
  • 大家さん・管理会社の了承が得られた場合に、第三者として部屋の状況を確認する
  • 確認すべき点や、費用負担を検討する際の参考となる事項を調査書にまとめてお渡しする
  • 調査書に記載した内容について、依頼者にご説明する

できないこと

  • 依頼者に代わって管理会社・大家さんと話し合うこと(代理交渉)
  • 個別の紛争について、法律上の権利義務や支払義務の有無を確定的に判断すること
  • 依頼者に代わって、返金請求や減額交渉などの法律事務を行うこと

すでに当事者どうしの話し合いが難しくなっている場合でも、敷金診断士が行うのは、請求内容の調査と調査書の作成までです。依頼者に代わって話し合うことや、法律相談はお受けできませんので、法的な判断が必要な場合や、相手方との話し合いを専門家に任せたい場合は、弁護士にご相談ください。

ご依頼の流れ

  1. LINEで資料を送る精算書(見積書・請求書)、賃貸借契約書、お部屋の写真など、お手元にある資料をお送りください。お問い合わせは無料です。
  2. 大家さん・管理会社に、第三者の立会いをお願いする敷金診断士が第三者として部屋の確認に立ち会うことを、依頼者から大家さん・管理会社にお願いしてください。了承が得られれば、実際に部屋を確認して調査します。立会いでは部屋の状況を確認するだけで、費用についての話し合いには加わりません。
  3. 立会いの了承が得られない場合は、聞き取りと資料から調査依頼者から当時の状況を詳しくお聞きし、精算書・写真・契約書などの資料をもとに調査します。部屋の明け渡し後でも調査書は作成できます。
  4. 調査書をお渡しする請求項目ごとに、ガイドラインの考え方に照らした目安と、その理由をまとめた調査書をお渡しします。
  5. ご本人が、調査書をもとに話し合う話し合いは、この調査書をもとに依頼者ご本人が行ってください。調査書に記載した内容はご説明します。

料金

調査書の作成
33,000円
  • LINEでのお問い合わせ・お見積もりは無料です
  • 料金は定額です。返還された金額によって料金が変わることはありません
  • 全国対応(立会いは地域によって別途交通費をいただく場合があります)

調査事例

実際にご依頼いただいた事例をご紹介します。依頼者の了承を得たうえで、個人や物件が特定されないよう一部の情報を伏せています。なお、各事例の「話し合いの結果」と「その後」は、敷金診断士が話し合いに加わって得たものではなく、依頼者ご本人からのご報告によるものです。

事例1

名古屋市西区・3LDK・入居8年11か月|追加で約36万円の請求が、89,000円の返還に

原状回復の請求額
516,505円
調査書での目安
64,380円
話し合いの結果
89,000円返還

敷金は140,000円。退去後に届いた精算書では、原状回復費用516,505円に敷金を全額充てても足りず、さらに約36万円を支払うという内容でした。

請求項目請求額ガイドラインに照らした目安
畳表替え(6枚)27,000円0円
襖 片面張替え(3枚)9,000円0円
襖 両面張替え(3枚)9,900円3,300円
クロス張替え(全7か所)261,900円196円
クッションフロア張替え(2か所)106,750円31円
室内清掃40,000円40,000円
照明器具取替え15,000円15,000円
消費税(10%)46,955円5,853円
合計(税込)516,505円64,380円

調査書で整理したポイント

  • クロス・クッションフロアは、入居8年11か月で耐用年数の6年を過ぎていました。ガイドラインの考え方では残存価値は1円となるため、約37万円の請求が、合計227円の目安になりました。
  • 畳・襖は、日焼けなど通常の使用による傷みかどうかを確認し、借主の負担となり得る襖1枚分を目安として残しました。
  • 室内清掃と照明器具は、契約内容と部屋の状況から、借主負担となり得る項目として目安に残しました。

その後:ご本人がこの調査書をもとに管理会社と話し合い、追加の支払いではなく、89,000円の返還で合意されました。調査書の目安で精算し直した場合の返還額は約9万円で、ほぼその金額での合意となりました。

※2022年の退去事例です。返還額には日割り家賃の精算分などが含まれます。

事例2

名古屋市熱田区・2LDK・入居7年3か月|356,617円の請求が、109,667円で合意

原状回復の請求額
356,617円
調査書での目安
清掃49,698円
+リペア代
話し合いの結果
109,667円で合意

敷金は238,000円。新築時から7年3か月住んだマンションを退去したところ、立会いで床のキズを指摘され、洋室とLDKのフローリングを合わせて18.3㎡張り替える見積もりが出されました。敷金を全額充てても足りない金額です。

請求項目請求額ガイドラインに照らした目安
室内清掃49,698円49,698円
洋室 床フローリング部分貼替え(9.7㎡)145,500円張替えではなく、リペア補修での対応が考えられる(費用は要確認)
LDK 床フローリング部分貼替え(8.6㎡)129,000円
消費税(10%)32,419円―
合計(税込)356,617円清掃+リペア代
フローリングの小さな欠け傷(緑のテープの横)
指摘された傷の一例。数センチほどの欠けです
家具を置いていた跡のうっすらとした色の変化
家具を置いていた跡の、うっすらとした色の変化

調査書で整理したポイント

  • 補修の範囲は「傷んだ部分に限る」のが原則です。ガイドラインでは、借主の負担になる場合でも、補修はできるだけ傷んだ部分に限定し、補修できる最小の単位で行うことを基本としています。
  • 借主が撮影した写真では、指摘された箇所のほとんどが軽微な傷や、家具を置いていた跡でした。ガイドラインの「補修は傷んだ部分に限る」という考え方に照らすと、床の張替えではなく、クリーニングやリペア補修での対応が考えられると調査書に記載しました。
  • リペア補修の費用は業者によって異なりますが、中部地区では半日の作業で15,000円〜20,000円程度が目安です。調査書には、この相場を参考情報として記載しました。
  • 室内清掃は、契約内容から借主負担となり得る項目として目安に残しました。

この事例は部屋の明け渡し後のご依頼だったため、依頼者からの聞き取りと、借主が撮影した写真・見積書・契約書をもとに調査書を作成しました。調査書は聞き取りの当日に作成しています。

その後:ご本人が調査書を添えて、「室内清掃49,698円+フローリングのリペア代5万円まで(税込109,667円)」とする和解案を書面で貸主に送りました。その結果、原状回復費用は109,667円で合意となり、請求額から約25万円下がりました。敷金238,000円との差額128,333円は返還の対象となりました。

※2022年の退去事例です。

事例3

豊田市・2DK(社宅)・入居15年8か月|流し台・洗面台の取替えまで含む40万円の請求、調査書の目安は0円

原状回復の請求額
404,800円
調査書での目安
0円
話し合いの結果
支払い0円

勤務先の社宅として、15年以上住んだ部屋を退去したケースです。敷金はありません。社宅の売却が決まり、「次に入居する方のためにきれいな状態で引き渡す」として、流し台や洗面台の取替えまで含めた404,800円の見積もりが入居者に示されました。社宅の管理規程には「入居期間の長短を問わず、壁紙・ふすま等の張替えやハウスクリーニングを行い、その費用は入居者が負担する」という定めがありました。

請求項目請求額ガイドラインに照らした目安
空室クリーニング32,000円0円
流し台・ガス台取換え78,000円0円
洗面台取替え91,000円0円
クッションフロア張替え(洋室・台所)91,500円0円
トイレ内装工事33,000円0円
洗濯パン取替え17,000円0円
浴室ガラス取替え5,000円0円
諸経費20,500円0円
消費税(10%)36,800円0円
合計(税込)404,800円0円
退去時の台所。流し台とタイルの目地
退去時の台所。取替えを求められた流し台です
退去時のトイレの壁紙
内装工事を求められたトイレ。15年以上使った壁紙です

調査書で整理したポイント

  • 流し台・洗面台などの設備は、耐用年数を大きく過ぎていました。ガイドラインの目安では流し台は5年、洗面台は15年です。入居は15年8か月で、入居時から新品ではなく、借主の過失による壊れもありませんでした。ガイドラインの考え方では、古くなった設備の取替えは、物件を維持するための貸主側の費用とされます。
  • クッションフロア・トイレの内装も、6年で価値が1円になる考え方に照らすと、15年以上住んだ時点では、借主が負担する価値はほぼ残らないことになります。
  • 空室クリーニングは、ガイドラインでは、通常の清掃をして退去していれば貸主側の費用とする考え方です。専門業者による清掃は次の入居者を迎えるためのものというのが、ガイドラインの考え方です。また、ガイドラインでは、通常の損耗まで借主に負担させる特約については、有効となるための3つの条件が示されています(詳しくはこちら)。
  • 「次の入居者のためにきれいな状態にする」費用は、ガイドラインの考える原状回復の範囲を超えるものです。ガイドラインでは、古い設備を新しくしたり、新築のような状態にしたりする修繕まで、借主が行う必要はないとされています。
  • 諸経費は内容が示されておらず、根拠が確認できませんでした。

この事例も、依頼者からの聞き取りと、退去時の写真・見積書・社宅の管理規程をもとに調査書を作成しました。

その後:ご本人が調査書をもとに話し合った結果、404,800円の請求に対して、追加の支払いは0円で終了しました。

※2022年の退去事例です。

事例4

名古屋市中区・1K・入居7年|借主の過失がある部屋で、追加71万円の支払いが14万円に

原状回復の請求額
768,860円
調査書での目安
57,092円
+補修代(要確認)
話し合いの結果
196,451円

敷金は56,250円。退去立会いで768,860円の借主負担を示され、敷金を差し引いても712,610円を支払うという内容でした。写真のとおり、壁紙のはがれや床の傷など、借主の不注意による傷みもある部屋です。

請求項目請求額ガイドラインに照らした目安
ハウスクリーニング25,000円25,000円
水回り強化洗浄20,000円20,000円
クロス張替え(91.2m)88,464円92円
クッションフロア張替え10,000円0円
フローリング張替え(16.3㎡)244,500円張替えではなく、リペア補修での対応が考えられる(費用は要確認)
下地補修(ボード補修含む)80,000円補修が必要となり得る(箇所と金額は要確認)
建具シート貼替え(2枚)70,000円下地補修と手間賃は借主負担となり得る(金額は要確認)
建具補修(収納扉)32,000円補修が必要となり得る(金額は要確認)
パテ補修10,000円10,000円
キャビネット交換(浴室)26,000円0円
ボード貼替え35,000円貼替えではなく補修での対応が考えられる(要確認)
木巾木交換50,000円0円
アクリル板交換2,000円2,000円
消費税(10%)69,896円―
合計(税込)768,860円57,092円+補修代
ドア枠の横で壁紙と下地がはがれている様子
壁紙と下地のはがれ。借主の負担となり得る傷みです
フローリングの表面が一部はがれている様子
床の傷。範囲は約1㎡で、リペア補修での対応が考えられる程度です

調査書で整理したポイント

  • 借主の過失による傷みは、借主負担となり得る項目として調査書に記載しています。壁の下地補修、建具の補修、パテ補修などは「補修が必要となり得る」としたうえで、範囲と金額は確認が必要な点として記載しました。調査書は借主に有利なことだけを書くものではありません。
  • クロスは入居7年で耐用年数の6年を過ぎていたため、ガイドラインの考え方に照らすと、過失があっても負担の目安は残存価値の92円になります。
  • フローリングは、傷の範囲が約1㎡に収まっていました。16.3㎡の張替えではなく、リペア補修での対応が考えられることと、中部地区の相場(半日15,000円〜、1日30,000円程度)を記載しました。床を張り替えないのであれば、巾木の交換も必要ないことになります。
  • 浴室のキャビネットは、借主は壊していないとの証言でした。ガイドラインの考え方では、入居前からの傷か、使っている間の傷かは貸主側が示すものとされているため、その資料が示されるまでは目安に含めませんでした。
  • ボードの貼替えは、拳ほどの大きさなら補修で対応できることが多いため、補修で対応できるかどうかと金額を、確認すべき点として記載しました(ボード補修の相場は1か所5,000円〜15,000円程度)。

この事例も、退去立会いには同席しておらず、依頼者からの聞き取りと写真・退去立会報告書・契約書をもとに調査書を作成しました。

その後:ご本人が調査書をもとに話し合い、補修が必要な項目の金額も確認した結果、原状回復費用は196,451円となりました。敷金56,250円を差し引いた追加の支払いは140,201円で、当初の712,610円から約57万円少なくなりました。借主の過失による傷みは、きちんと負担したうえでの結果です。

※2022年の退去事例です。

※各事例の最終的な結果は、依頼者ご本人からのご報告によるものです。敷金診断士は、管理会社・大家さんとの話し合いには加わっていません。

これまでの調査事例の一覧

入居年数の短い順に並べています。金額はすべて税込みです。

地域間取り入居年数敷金請求額調査での目安
岐阜市戸建て7か月127,000円917,625円約35万円
津市戸建て5年4か月196,000円399,960円163,570円
名古屋市中区1K6年0円209,330円62,500円
名古屋市中区1K7年56,250円768,860円196,451円
名古屋市熱田区2LDK7年3か月238,000円356,617円清掃+リペア代
(合意109,667円)
名古屋市西区3LDK8年11か月140,000円516,505円64,380円
名古屋市天白区2LDK11年177,000円483,780円11,000円
豊田市2DK(社宅)15年8か月0円404,800円0円
名古屋市守山区3DK23年268,000円374,308円57,200円

※岐阜市の事例の請求額には短期解約の違約金が含まれ、約35万円は違約金を除いた原状回復費です。

各事例の詳しい内容は、退去費用の請求額は、調査するといくらになった?敷金診断士の実例5件でご覧いただけます。特殊な事例として、退去費用650万円の見積もりを調査した事例や、入居者が室内で亡くなった事例もあります。

注意点

調査書は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方に照らした一般的な目安を示すものであり、法的な判断や、請求額が法的に正しいかどうかを判断するものではありません。また、調査書があれば必ず返還額が増えるというものでもありません。実際の結果は、契約内容(特約を含む)や部屋の状況、当事者どうしの話し合いによって異なります。

請求書の内容を確かめたい方へ

まずはLINEで、精算書と契約書の写真を送ってください。調査書の作成をお引き受けできるかどうかを、無料でお知らせします。

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愛知敷金診断士事務所(しんだん君)代表。一般社団法人日本敷金診断士協会 所属。敷金診断士として18年・4,500件の実績。国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、第三者として退去費用・原状回復に関する調査と情報提供を行っています。本記事は同ガイドラインの考え方をもとにした一般的な解説であり、個別の法律判断や交渉代理を行うものではありません。

本記事は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方を参考にした一般的な情報提供を目的としており、法律相談・法的判断・交渉代理を行うものではありません。実際の負担額は賃貸借契約の内容(特約を含む)や物件の損耗状況等によって異なります。個別の法的トラブルについては弁護士等の専門家にご相談ください。